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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

挙国一致内閣(きょこくいっちないかく、英語: National unity government, government of national unity (GNU), national union government)とは、大規模な戦争恐慌といった国家の危機や政党内閣の危機に際して、対立する政党をも包含して作られた内閣をいう。

概要

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政党や社会勢力の複数競合を前提とする議会体制の下で、戦争恐慌といった国家の危機に際し主要政党の大半や有力社会集団の参加と支持を得て形成される。複数の政党から成り立つ連立内閣とは異なる[1]

国民の一体感をつくりやすい反面、閣内の統制が不十分で実行力が伴わない場合も多い[1]

戦前日本のような、政党制が未成熟で社会勢力の競合に不寛容な社会では、政党政治の否認が挙国一致内閣の成立条件となり、またその目標や結果となる傾向が強まる[1]

各国の概要

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日本

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昭和期の日本では、五・一五事件の後に登場した海軍出身者を内閣総理大臣として擁立した1932年齋藤内閣1934年岡田内閣大政翼賛会陸軍によって支えられた近衛内閣や戦時下の東條内閣が有名である。齋藤内閣から終戦後の1945年に成立した幣原内閣までの戦前・戦中・戦後の内閣が挙国一致内閣に分類される。

齋藤・岡田両内閣は政党内閣ではないが、純粋な超然内閣でもないとして「中間内閣」とも呼ばれる。

アフガニスタン

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2014年アフガニスタン大統領選挙が争われた後、国家統一政府(NUG)が結成され、アメリカの仲介のもと決選投票で争ったアシュラフ・ガニーアフガニスタンの大統領アブドラ・アブドラがアフガニスタンの行政長官に就任した[2]。この権力分担協定は2019年アフガニスタン大統領選挙後に破綻したが、アメリカを始めとする国際圧力のもと再び国家統一政府が結成され、アブドラ・アブドラが新設される国家和解高等評議会議長に就任した[3][4]

この国家統一政府は、2021年ターリバーンアフガニスタン政府を打倒したことに伴い、破綻した。

イギリス

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イギリスでは第一次世界大戦中に成立した第2次アスキス内閣[5]ロイド・ジョージ内閣、世界恐慌対策として1931年のマクドナルド内閣[6]が有名である。他、チャーチル第二次世界大戦の間、保守党労働党自由党というほぼ全政党による挙国一致内閣を組織した[7]

イスラエル

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イスラエルでは1967年の第三次中東戦争勃発に伴い、レヴィ・エシュコル政権に野党指導者のメナヘム・ベギンらが加わり挙国一致内閣が樹立された。また、2023年10月7日にはパレスチナ過激派ハマースガザ地区より奇襲攻撃を仕掛け、イスラエルもこれに反撃し宣戦布告を行う事態となり(2023年パレスチナ・イスラエル戦争)、与野党で臨時の統一内閣を樹立する機運が高まり[8]、10月10日に与党リクードは挙国一致内閣を樹立することを発表。野党のイェシュ・アティッド国家団結英語版が参加に合意[9]。翌11日にベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアヴ・ガラント国防相、ベニー・ガンツ前国防相の3人からなる戦争対応内閣が通常の内閣とは別に発足し、戦争の遂行に関係ない法案や政府決定は一切凍結された[10][11]

カナダ

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第一次世界大戦の最中、ロバート・ボーデン首相率いる保守党英語版政権は、1917年徴兵危機英語版に対抗する手段として、カナダ自由党と挙国一致内閣を組もうとしたが、ウィルフリッド・ローリエ代表がこれを拒否した。

クロアチア

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クロアチアはクロアチア紛争勃発を受けて、フラニョ・グレグリッチ英語版首相のもと、クロアチア民主同盟主導による挙国一致内閣を組織した[12]

ドイツ

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ドイツ帝国においては、第一次世界大戦中に党派争いが停止されて全党派が政府の戦争遂行を支持する「城内平和」と呼ばれる「Allparteienregierung(全党政府)」が構築された[13]。第一次世界大戦後のワイマール共和国では選挙制度が比例代表制だったため、そもそも連立が前提となっていたが、とりわけ1923年にはハイパー・インフレの危機からドイツ国家人民党ドイツ共産党の左右両極を除いた全党派が参加・支持する挙国一致的なシュトレーゼマン内閣が成立している[14]

フランス

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同時期フランス第三共和政においても「神聖なる団結」(ユニオン・サクレ)という名前で同様の挙国一致体制(Gouvernement d'union nationale)が築かれた[13]

ミャンマー

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2021年ミャンマークーデター勃発後、連邦議会代表委員会が組織され、国民統一政府が結成された[15]

脚注

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注釈

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出典

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  1. 1 2 3 小項目事典, デジタル大辞泉,改訂新版 世界大百科事典,百科事典マイペディア,日本大百科全書(ニッポニカ),山川 日本史小辞典 改訂新版,旺文社日本史事典 三訂版,ブリタニカ国際大百科事典. 挙国一致内閣(キョコクイッチナイカク)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年5月25日閲覧。
  2. Staff, Reuters. “アフガン新大統領にガニ元財務相、選挙結果めぐる混乱に終止符”. U.S. (アメリカ英語). 2026年5月25日閲覧. {{cite news}}: |first=に無意味な名前が入力されています。 (説明)
  3. アフガニスタンのガニ大統領と政敵アブドラ氏、権力分割合意に署名”. www.afpbb.com (2020年5月18日). 2026年5月25日閲覧。
  4. 日本放送協会. “大統領選で混乱のアフガン 大統領と対立候補が連携し新政権へ | NHKニュース”. NHKニュース. 2026年5月25日閲覧.
  5. 中村祐吉 1978, p. 110-114.
  6. 松村赳 & 富田虎男 2000, p. 441.
  7. バトラー 1980, p. 139.
  8. “Netanyahu, Lapid and Gantz discuss forming emergency government as country faces war”. The Times of Israel. 2023年10月7日. 2023年10月11日閲覧.
  9. “イスラエル政権、緊急の挙国一致政府樹立で野党トップと合意”. ロイター. 2023年10月11日. 2023年10月11日閲覧.
  10. “イスラエル、挙国一致内閣を組閣-ハマスとの戦争遂行で”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. 2023年10月11日. 2023年10月12日閲覧.
  11. “イスラエル、挙国一致政権を樹立へ 地上侵攻に備え”. 日本経済新聞. 2023年10月12日. 2023年10月12日閲覧. {{cite news}}: |work=|newspaper=引数が重複しています。 (説明)
  12. 小項目事典, ブリタニカ国際大百科事典. クロアチア社会自由党(クロアチアしゃかいじゆうとう)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年5月25日閲覧。
  13. 1 2 ベッケール, クルマイヒ & 2001上, p. 94.
  14. 林健太郎 1963, p. 103-104.
  15. ミャンマー民主派 文民政府樹立宣言/軍政に対抗”. www.jcp.or.jp. 2026年5月25日閲覧。

参考文献

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関連項目

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