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| 虹彩 | |
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ヒトの虹彩の一例(薄茶色の部分)。中心の黒い円形の部分は瞳孔。 | |
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眼球の断面図 | |
| 英語 | Iris |
| 器官 | 感覚器 |
| 動脈 | 長後毛様体動脈 |
| 神経 |
長毛様体神経 短毛様体神経 |
虹彩(こうさい、英: Iris)は、脊椎動物および軟体動物頭足類の眼球内において、角膜と水晶体の間にある輪状の薄い膜である。
中心にある開口部(瞳孔)の大きさを変化させることで、網膜に入る光の量を調節する役割を持つ。カメラの「絞り」に相当し、暗い場所では瞳孔を広げ、明るい場所では縮小させる。
虹彩に含まれるメラニン色素の量や組織の密度によって、いわゆる「目の色(特有の彩度や模様)」が決定され、これには大きな個人差がある。また、その複雑な模様は生涯を通じてほとんど変化しないため、個人の識別を行う虹彩認証などの生体認証技術にも利用されている。
特徴
[編集]虹彩は、眼球の前面において、いわゆる「目の色」を構成する組織である。中央には瞳孔と呼ばれる開口部があり、虹彩内に存在する平滑筋の働きによってこの広さを変え、網膜へと入る光の量を調節している。この調節を司る平滑筋には、主に副交感神経支配の瞳孔括約筋(瞳孔を縮める)と、交感神経支配の瞳孔散大筋(瞳孔を広げる)の2種類があり、周囲の明るさに応じて自動的に作動する(対光反射)。
ヒトの虹彩に現れる複雑な皺(しわ)や模様(虹彩紋)は、遺伝的影響を受けつつも胎児期の形成過程でランダムに決定されるため、一卵性双生児であっても完全に一致することはなく、個体ごとに固有である。また、白内障などの疾患や外傷を除けば、そのパターンは生涯を通じてほとんど変化しない。この高い個体識別能力と不変性を利用して、スマートフォンのロック解除や出入国管理などの生体認証システム(虹彩認証)に広く応用されている。
また、これとは逆に、虹彩の模様や色の変化から全身の健康状態や疾患のリスクを診断・分析しようとする手法(虹彩分析 / イリドロジー)も存在する。ただし、現代の西洋医学や根拠に基づく医療(EBM)の文脈においては、その科学的根拠や診断の妥当性について否定的な見解が多く、一般には代替医療や疑似科学の一種として扱われることが多い。
虹彩の色
[編集]虹彩の色は、組織に含まれるメラニン色素の量と、光の散乱度合いによって決定される。一般に「目の色」と呼ばれるものはこの虹彩の色を指す。以下では、ヒトにおける主な虹彩の色について記述する。
- 濃褐色(ブラウン)
- 世界で最も普遍的に見られる色であり、人種を問わず広く分布する。虹彩基質におけるメラニン色素の沈着が最も多い。アフリカ系やアジア系のヒトの大部分は濃いブラウンの虹彩を持ち、外見上「黒」と認識されることも多い。日本語の慣用句「目が黒いうちに」は、日本人の大半が濃褐色の虹彩を持つことに由来する。
- 青(ブルー)
- 世界全体ではブラウンに次いで多く見られる色である。メラニン色素が極めて少なく、基質に入射した光のうち波長の短い青色光だけがレイリー散乱(空が青く見えるのと同じ現象)を起こすことで青く見える。北部ヨーロッパなど日照量の少ない地域に集中しており、フィンランドやリトアニアなどでは人口の80%以上を占める。アイルランドやイギリス、アメリカ合衆国の白人層にも高い割合で見られるほか、中東や中央アジアの高地でも確認される。
- 白人の新生児は生まれた直後にブルーの目であることが多いが、成長に伴ってメラニン色素の沈着が進み、徐々に別の色へと変化していくケースが一般的である。
- 淡褐色(ヘーゼル)
- ライトブラウン(明るい茶色)とグリーン(緑色)の中間に位置する色調である。メラニン色素の量はブラウンに次いで多く、光の散乱と色素のブレンドによって複雑な色合いを呈する。中部ヨーロッパやスラブ系の民族に比較的多く見られる。日本国内でも稀に確認され、南西日本(特に九州地方)において比較的偏在する傾向が指摘されている。
- 灰色(グレー)
- ブルーの変異(バリエーション)と考えられている色であり、ブルーよりもわずかにメラニン色素の量が多い、あるいは虹彩基質内のコラーゲン沈着密度が高いことに起因する。ロシアやバルト海沿岸、北欧などの白人層に多く見られる。
- 緑(グリーン)
- メラニン色素の量はヘーゼルより少なく、ブルーよりやや多い。南ヨーロッパや東ヨーロッパ(ケルト系、ゲルマン系、スラブ系など)や、中東・中央アジアの一部で見られるが、世界全体における割合は数%程度と非常に稀少な色である。
- 赤(レッド)と青紫(バイオレット)
- 重度の先天性白皮症(アルビノ)に見られる特殊なケースである。虹彩にメラニン色素が完全に、あるいはほとんど欠如しているため、本来は遮断されるはずの網膜後方の血管(脈絡膜)の赤色が透過し、虹彩自体が赤く、あるいは青い光の散乱と混ざり合って深い青紫(バイオレット)に見える。
- なお、通常の虹彩を持つ人でも、夜間や暗所でのフラッシュ撮影時に瞳孔が赤く写る「赤目現象」が起きるが、これは網膜の血管が光を反射しているためであり、虹彩の色そのものが赤いわけではない。
- 虹彩異色症(オッドアイ)
- →詳細は「虹彩異色症」を参照
- 遺伝的要因や生後の外傷、疾患などが原因で、左右の虹彩で色が異なる(虹彩異色)、あるいは1枚の虹彩の中で部分的に色が異なる(部分異色)現象。ヒトにおいては極めて稀な症例である。
参考文献
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