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キタニタツヤがゲストアーティストとの対バンを通して見せた、“攻めのモード” 「Hugs Vol.6」神戸公演<ライブレポート>

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PR:キタニタツヤ「TATSUYA KITANI Presents “Hugs Vol.6”」

キタニタツヤ 「TATSUYA KITANI Presents “Hugs Vol.6”」の様子
キタニタツヤ 「TATSUYA KITANI Presents “Hugs Vol.6”」の様子 Photo by Miyu Ando

 シンガーソングライターのキタニタツヤが、7月5日(日)にGLION ARENA KOBEで自主企画対バンイベント「Hugs Vol.6」を開催した。この企画は2019年よりスタート。対バンするアーティストやそのファンとも抱擁を交わして仲よくなりたいという想いがタイトルに込められており、これまでにもodol、Omoinotake、indigo la EndやASIAN KUNG-FU GENERATIONなどジャンルも世代も幅広いアーティストと“抱擁”を交わしてきた。今回4年ぶり6回目となった「Hugs」神戸公演の模様をいち早くお届けする。

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イルカポリス 海豚刑警 Photo by 陳泓旭 Hung Hsu Chen(@103mc_milkgreen)
 キタニがアジアツアーで出会い、「ぜひ紹介したい」という願いが実った台湾の4人組オルタナティブバンド・“イルカポリス 海豚刑警”。登場早々、まこ(伍悅、Vo&Gt)、ダブルホース(雙馬、Gt&cho)、Andy(鐘奕安、Ba)、Balang(何遠哲、Dr)の4人ともカラフルで尖ったファッションが目を惹く。そのビジュアルにも会場がざわめく中、「羽球少年」でパフォーマンスがスタート。4人が思い思いに音を放ちながらも不思議とひとつのグルーヴを描き、その上をまこのキュートな歌声が軽やかに泳ぐ。音を途切れさせることなくインスト曲を挟み、「海濱公園直線加速的我」「大家都唾棄的低能婐爱ㄋ」へ。誰もが彼らの高い演奏テクニックや次にどんな音が出るかを見逃すまいと固唾を呑んで見守りながら、パンクなのにサイケ、ポップなのに混沌とした不思議な音の世界に包み込まれていく。

イルカポリス 海豚刑警 Photo by 陳泓旭 Hung Hsu Chen(@103mc_milkgreen)
 「今までで一番大きなステージです!」というまこの日本語での挨拶に続き、各メンバーも出演への感謝を述べる。そこから予測不能な音の展開にしがみつくしかなかった「Furry Song」、まことダブルホースの美しいボーカルの重なりを聞かせた「安平之光」まで全5曲。目まぐるしく姿を変える音像と、剥き出しのエネルギーで会場を圧倒した“イルカポリス 海豚刑警”。私たちに全力で駆け寄りそのまま勢いよくハグしていった、鮮烈なステージだった。

Eve Photo by Takeshi Yao
 意外にも「人生初対バン」だというシンガーソングライター・Eve。自身もZeppツアーの真っ最中で、合間にこのステージに出た決断もキタニとの親密さを窺わせる。中毒性あるリズムの「ナンセンス文学」でライブを始め、続いたキタニとのコラボ楽曲「ラブソング」の音が鳴るや否や観客の大きな歓声が湧く。赤い照明が会場を染めるたび、スクリーンに映し出される映像と音楽が現実との境界を曖昧にして会場そのものを自身の作品世界へと変えてしまう。以降もエバーグリーンなバンドサウンドアレンジが響き渡った「ゴーストアベニュー」、映像にもビートにもダークさがジワリと滲む「Underdog」、最新曲の「あびすいんざわーるど」と曲を重ねていく。

Eve Photo by Takeshi Yao
 Eveは素晴らしいステージと時間を用意してもらったことへの感謝を伝えつつ、「限られた時間の中で1曲でも多く歌って帰りたい」と、ここからノンストップで歌い続けると宣言。さらにアクセルを踏み込むような疾走感に包まれる「アウトサイダー」、曲の合間に「こんなもんかい? 神戸!」と観客を煽る姿も見せた「ドラマツルギー」へ。さらに「ファイトソング」「廻廻奇譚」「ぼくらの」まで、バンドと共に超高速で走り切った。この日のステージそのものがキタニからのラブコールへの返答――火傷しそうに情熱的な抱擁だった。

 ラストを飾ったのはホストアーティスト・キタニタツヤ。飛び道具的パフォーマンスを見せた“イルカポリス 海豚刑警”、自分の世界の中に観客を飲み込んだEveが作り出した空気感を受け取って幕を開けたオープニング曲は「ずうっといっしょ!」。バンドを引き連れてギターをかき鳴らすキタニと、彼らを照らすビビッドなピンクのライトで会場の空気を一変させ、続く「スカー」も恐ろしい音圧で、一気に観客をキタニワールドへと引き込む破壊力ある滑り出し。そして激しいドラムのビートが鳴りだすと「抱擁を楽しんでいますでしょうか?」とキタニが投げかけ、瞬間的に嵐のような歓声が巻き起こる。その声にニヤリとしながら、「F.A.C.E.」へ突入。ここからが怒涛の展開だった。「かすかなはな」「化け猫」「デッドウェイト」「あなたのことをおしえて」と立て続けに披露したのだが、曲を重ねるごとにバンドの音は推進力を増しその音と呼応するようにキタニの歌声もパフォーマンスも熱を帯びていく。「化け猫」「デッドウェイト」では音像に変化をつけながらも、熱量は1秒たりとも緩むことがない。ライブスタートから30分弱、ノンストップで畳み掛けられていることにハッとする。

 今回で6回目を迎えた「Hugs」は、仲よくなりたい人に自分から声をかけて音楽を通してアーティストともハグするし、ファン同士もハグするようなイベントになればと始めたと話すキタニ。さらに自分が企画するライブは“自分たちが自由に遊べる居場所”であること、「自分で作った居場所を持っておいてよかった」と笑う。その言葉の後に続けたのは居場所についての想いが綴られた「れびてーしょん」、バンドの音を凌駕するほどのパワーを持ったボーカルに圧倒された「大人になっても」、観客の大合唱もバンドの音を作った「素敵なしゅうまつを!」など、ライブが中盤を超えてもなおアクセルは踏み込まれ続ける。

キタニタツヤ Photo by Miyu Ando
 キタニの「踊れ、神戸!」という叫びとそれに応える歓声、スクリーンに映し出された燃えさかる炎の映像も曲の情熱を増幅させた「火種」(TVアニメ『日本三國』オープニングテーマ)から、キタニがハンドマイクを手にステージを縦横無尽に行き来しながら歌い、そこにこの日イチの観客の大合唱が巻き起こった「悪魔の踊り方」、打ち込みのビートに激しい手拍子と客席からのラララの歌声にさらにキタニが声を重ねた「青のすみか」までの3曲が紛れもないハイライト! ラストの「次回予告」では、会場に集った全ての人が渾身の声で歌い、それに応えるキタニとバンドも一緒になって作り出した会場の空気感は“抱擁”という言葉がピタリとハマる光景だった。

 終わってみれば、この日のキタニはライブに込める熱量を最優先に掲げ、最後まで休符を作らなかった。緩急ではなく推進力で観客を引っ張り続ける構成は、ホストアーティストとして“イルカポリス 海豚刑警”、Eveから受け継いだ熱量を絶やさず、それを飲み込みさらに凌駕しようとする意思表示でもあり、同時に現在のキタニの“攻めのモード”を表していた。
それを象徴するように秋にはニューアルバム「DEKAI」/「PURE」の2枚同時リリースが、そして12月から2027年1月にかけて自身最大規模となるアリーナツアー「“DEKAI / PURE”」を開催することが発表されている。

 いよいよ7月17日(金)には東京ガーデンシアターにてTVアニメ『幻想水滸伝』オープニング主題歌「悲しみさえ大人びて」話題のamazarashiと韓国発のロックバンド・Silica Gelを招いての「Hugs Vol.6」東京公演が控えている。

 三者の個性と熱量を一度に体感できる貴重な一夜、攻めに攻めたその先で、どんな景色に出会うのだろうか。

文:桃井麻依子

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